教育・子育て
教育のオルタナティブ -〈ホリスティック教育/ケア〉研究のために-
- ISBN 978-4-88416-286-3
- 四六判 上製 262ページ
- 2022年3月
定価:2,750円(本体2,500円+税)
本書は、日本のオルタナティブ教育をめぐる現実、その学校づくりや法制化運動に参画しつつ、教育(学)のオルタナティブな志向を、超越性をめぐる問いにまで深めて探求してきた研究を編んだものである。これによって、ホリスティックな教育とケアに関する研究にも、寄与できるのではないかと目論んでいる。(「はしがき」より)
2023年8月 品切れ・重版予定なし
目次
第Ⅰ部 オルタナティブな教育――別様の可能性からの問いかけ
第一章 「オルタナティブ」の三つの意味合い―日本のオルタナティブ教育の動向
1.「問いかける他者」としてのオルタナティブ教育
2.「オルタナティブ」の三つの意味合い――多様性/代案性/別様性
3.日本におけるオルタナティブ教育の小史
4.フリースクール等のオルタナティブ教育の実態
5.一元化と多様化のはざまで――「オルタナティブ」の真価
【時評】「普通教育機会確保法」の理念を現実に活かそう――現職教員の声とともに
第二章 オルタナティブ教育の法制化をめぐって―教育機会を確保するもう一つの法制度
1.「就学義務一元制度」の意義と限界――「学習権保障の二本立て法制度」へ
2. 法制化へのオルタナティブスクール当事者の意識
3. 普通教育の機会を確保する学校教育法ともう一つ別の法律
【時評】新型コロナ対応が加速する学び方のシフト――履修主義から習得主義へ
第三章 シュタイナーのホリスティックな人間観と教育観―独自理念型オルタナティブ学校の範例
1.シュタイナー教育の思想史的背景
2.シュタイナーの世界観と人間観
3.シュタイナーの教育観とカリキュラム理論
4.シュタイナーの社会理論と学校論
【時評】「日本型学校教育」と多様な教育機会の確保――と
第四章 シュタイナー学校の教育現実から―ブーバーの対話哲学で読み解く
1.存在を確かめ合う呼びかけと応答――シュタイナー学校の朝の始まり方
2.生きた言葉を語る対話――「教科書」ではなく「語り」中心の授業
3.世界との出会いを仲介する教育者――選び抜かれた教材とカリキュラム
4.運命との出会いにおいて決意する自由――歩むべき道を見出す「自由への教育」
【時評】国連・ユネスコのSDGs/ESD推進の拠点校づくり――公教育校とオルタナティブ校の協働へ
第Ⅱ部 教育のオルタナティブ――超越性をめぐる問い
第五章 教育のパラドクスから「もうひとつの世界」へ―村井実の「〈善さ〉の教育学」より
1.「〈善さ〉の教育学」の成立――教育のパラドクスと向き合って
2.生成論的な〈善さ〉教育学の中核理論
3.生成論的な〈善さ〉教育学の各論的展開
4.教育の可能根拠と宇宙の根本原因――「もうひとつの世界」への誘い
【コラム】闇の中で待ち望む光――アドベントと一陽来復
第六章 教育的日常のなかに働くスピリチュアリティ―ブーバーの「対話の生涯」に学ぶ
1.幼年期・学齢期のブーバー――思想形成の原基となる体験
2.青年期から「回心」まで――神秘主義から「日常のなかの対話」へ
3.子どもと教育という現実のなかへ――人間形成の根源力を感得する
4.ブーバーの教育活動――「強制か自由か」に対する第三のオルタナティブ
5.教育の真の主体としての〈世界〉――人間形成の根源力
【コラム】「一即一切」のありがたさ――東大寺二月堂「修二会」に寄せて
第七章 別様の他者との「対話」の(不)可能性―井筒俊彦を補助線としたブーバー
1.異なる言語のあいだの翻訳と対話の(不)可能性
2.LogosとLogoiのあいだの翻訳――ブーバーの自伝的断片より
3.〈対話Dia-logos〉の動態と本態――井筒俊彦を補助線として
4.他者との対話の垂直軸、もしくはV字型理解
【コラム】古と今が響きあう時空――室生・芸術の森での言舞劇
第八章 人類史的な問いとしての「ケア」―「教育」概念を外部へ開く新たな地平
1.自ら立つこと、人とつながること
2.教育へのオルタナティブ・アプローチとしての「ケア」の視点
3.近代化の果てのケアの外部化:共同体からの個人の自立
4.進化の果てのケアの脱自然化:自然からの自立と疎外
5.ポスト個人化時代のつながり方:ケアを根底で支える深さの次元
【コラム】人と大地に支えられて――ケア・コミュニティでの結婚式
結章 〈ホリスティック教育/ケア〉研究のために
第Ⅰ部 オルタナティブな教育――別様の可能性からの問いかけ
第一章 「オルタナティブ」の三つの意味合い―日本のオルタナティブ教育の動向
1.「問いかける他者」としてのオルタナティブ教育
2.「オルタナティブ」の三つの意味合い――多様性/代案性/別様性
3.日本におけるオルタナティブ教育の小史
4.フリースクール等のオルタナティブ教育の実態
5.一元化と多様化のはざまで――「オルタナティブ」の真価
【時評】「普通教育機会確保法」の理念を現実に活かそう――現職教員の声とともに
第二章 オルタナティブ教育の法制化をめぐって―教育機会を確保するもう一つの法制度
1.「就学義務一元制度」の意義と限界――「学習権保障の二本立て法制度」へ
2. 法制化へのオルタナティブスクール当事者の意識
3. 普通教育の機会を確保する学校教育法ともう一つ別の法律
【時評】新型コロナ対応が加速する学び方のシフト――履修主義から習得主義へ
第三章 シュタイナーのホリスティックな人間観と教育観―独自理念型オルタナティブ学校の範例
1.シュタイナー教育の思想史的背景
2.シュタイナーの世界観と人間観
3.シュタイナーの教育観とカリキュラム理論
4.シュタイナーの社会理論と学校論
【時評】「日本型学校教育」と多様な教育機会の確保――と
第四章 シュタイナー学校の教育現実から―ブーバーの対話哲学で読み解く
1.存在を確かめ合う呼びかけと応答――シュタイナー学校の朝の始まり方
2.生きた言葉を語る対話――「教科書」ではなく「語り」中心の授業
3.世界との出会いを仲介する教育者――選び抜かれた教材とカリキュラム
4.運命との出会いにおいて決意する自由――歩むべき道を見出す「自由への教育」
【時評】国連・ユネスコのSDGs/ESD推進の拠点校づくり――公教育校とオルタナティブ校の協働へ
第Ⅱ部 教育のオルタナティブ――超越性をめぐる問い
第五章 教育のパラドクスから「もうひとつの世界」へ―村井実の「〈善さ〉の教育学」より
1.「〈善さ〉の教育学」の成立――教育のパラドクスと向き合って
2.生成論的な〈善さ〉教育学の中核理論
3.生成論的な〈善さ〉教育学の各論的展開
4.教育の可能根拠と宇宙の根本原因――「もうひとつの世界」への誘い
【コラム】闇の中で待ち望む光――アドベントと一陽来復
第六章 教育的日常のなかに働くスピリチュアリティ―ブーバーの「対話の生涯」に学ぶ
1.幼年期・学齢期のブーバー――思想形成の原基となる体験
2.青年期から「回心」まで――神秘主義から「日常のなかの対話」へ
3.子どもと教育という現実のなかへ――人間形成の根源力を感得する
4.ブーバーの教育活動――「強制か自由か」に対する第三のオルタナティブ
5.教育の真の主体としての〈世界〉――人間形成の根源力
【コラム】「一即一切」のありがたさ――東大寺二月堂「修二会」に寄せて
第七章 別様の他者との「対話」の(不)可能性―井筒俊彦を補助線としたブーバー
1.異なる言語のあいだの翻訳と対話の(不)可能性
2.LogosとLogoiのあいだの翻訳――ブーバーの自伝的断片より
3.〈対話Dia-logos〉の動態と本態――井筒俊彦を補助線として
4.他者との対話の垂直軸、もしくはV字型理解
【コラム】古と今が響きあう時空――室生・芸術の森での言舞劇
第八章 人類史的な問いとしての「ケア」―「教育」概念を外部へ開く新たな地平
1.自ら立つこと、人とつながること
2.教育へのオルタナティブ・アプローチとしての「ケア」の視点
3.近代化の果てのケアの外部化:共同体からの個人の自立
4.進化の果てのケアの脱自然化:自然からの自立と疎外
5.ポスト個人化時代のつながり方:ケアを根底で支える深さの次元
【コラム】人と大地に支えられて――ケア・コミュニティでの結婚式
結章 〈ホリスティック教育/ケア〉研究のために
吉田 敦彦(よしだ あつひこ)
1960年、大阪府生まれ。
1988年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。
2006年、京都大学「博士(教育学)」(論文博士)。
現在、大阪府立大学大学院教授(2022年4月より、大阪公立大学大学院現代システム科学研究科/現代システム科学域教育福祉学類所属)。
日本ホリスティック教育/ケア学会前会長。日本ユネスコ協会連盟理事。日本シュタイナー学校協会専門会員。京田辺シュタイナー学校顧問。
主な著作(単著)
『ホリスティック教育論:日本の動向と思想の地平』日本評論社。『ブーバー対話論とホリスティック教育:他者・呼びかけ・応答』勁草書房。『世界のホリスティック教育:もうひとつの持続可能な未来へ』日本評論社。『世界が変わる学び:ホリスティック/シュタイナー/オルタナティブ』ミネルヴァ書房。
(共編著)
『いのちに根ざす日本のシュタイナー教育』、『ホリスティックな気づきと学び』、『ホリスティック教育入門』、『持続可能な教育と文化:深化する環太平洋のESD』、『ホリスティック・ケア:新たなつながりの中の看護・福祉・教育』―以上、せせらぎ出版、ほか。(共著)『変容する世界と日本のオルタナティブ教育』(永田佳之編)世織書房、『ケアと人間:心理・教育・宗教』(西平直編)ミネルヴァ書房、ほか多数。
装幀―上野かおる
1960年、大阪府生まれ。
1988年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。
2006年、京都大学「博士(教育学)」(論文博士)。
現在、大阪府立大学大学院教授(2022年4月より、大阪公立大学大学院現代システム科学研究科/現代システム科学域教育福祉学類所属)。
日本ホリスティック教育/ケア学会前会長。日本ユネスコ協会連盟理事。日本シュタイナー学校協会専門会員。京田辺シュタイナー学校顧問。
主な著作(単著)
『ホリスティック教育論:日本の動向と思想の地平』日本評論社。『ブーバー対話論とホリスティック教育:他者・呼びかけ・応答』勁草書房。『世界のホリスティック教育:もうひとつの持続可能な未来へ』日本評論社。『世界が変わる学び:ホリスティック/シュタイナー/オルタナティブ』ミネルヴァ書房。
(共編著)
『いのちに根ざす日本のシュタイナー教育』、『ホリスティックな気づきと学び』、『ホリスティック教育入門』、『持続可能な教育と文化:深化する環太平洋のESD』、『ホリスティック・ケア:新たなつながりの中の看護・福祉・教育』―以上、せせらぎ出版、ほか。(共著)『変容する世界と日本のオルタナティブ教育』(永田佳之編)世織書房、『ケアと人間:心理・教育・宗教』(西平直編)ミネルヴァ書房、ほか多数。
装幀―上野かおる