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教育・子育て

離婚後の面会交流・共同親権に関する考察
花元 彩 / 著
  • ISBN 978-4-88416-308-2
  • A5判 カバー付き並製本 196ページ 
  • 2024年6月
定価:2,420円(本体2,200円+税)
本書は、離婚後の子の福祉の観点から、離婚後の面会交流で元夫婦がどのような場合に面会交流が認められるか否か、また別居中・離婚後の監護に関する事項でどのような問題が生じうるかを論考および事例研究で検討したうえで、面会交流と離婚後の共同親権の要綱案を考察するものである。本書により、「忸怩たる思い」を抱くことなく、「晴れ間」が見えるようになれば、望外の喜びである。2024年4月 (「まえがき」より)
2024年4月17日に、離婚後の共同親権を認める改正案が衆議院本会議で可決され、今国会で成立する見込みとなった。いよいよ、我が国でも離婚後の共同親権が導入されることになる。

2011年の民法改正で、民法766条において、面会交流や養育費などについては、子の利益を最も優先して定めなければならないとされた。そして、裁判実務においても、子の虐待などがないのであれば、原則として、面会交流を実施するようにとの判断が一般的になった。
この面会交流をさらに広げ、離婚後の共同親権を実現させるべきか。著者は、20年ほど前に、研究者と裁判官からなる関西家事事件研究会で、「離婚後の共同監護の可否」について報告したことがある。その際、裁判官より、「離婚した夫婦が、同居協力義務のない破綻した関係で、子育てを共同でできるとは思えない」、「もし、離婚後の共同監護・共同親権を認めた場合、元夫婦間の話し合いで合意に至らない場合、家裁が子どもの宗教や進学先を決めることになるのか」との疑問、ご意見を頂戴した。
そのように実務家には不安視された離婚後の共同親権が実現される。
◎目次
まえがき
第1章 面接交渉権の法的性質に関する一考察 ―アメリカにおける継親子間の訪問権を中心に―
 Ⅰ はじめに/Ⅱ アメリカにおける継親子間の訪問権について/Ⅲ 我が国における面接交渉権のとらえ方/Ⅳ おわりに
第2章 面接交渉の間接強制
 Ⅰ はじめに/Ⅱ 面接交渉の間接強制に関する事件/Ⅲ 検討/Ⅳ むすびにかえて
第3章 面会交流の間接強制 ―子の意思または福祉の取扱いをめぐって―
 Ⅰ はじめに/Ⅱ 大阪高裁決定(平24.3.29)が提起したもの/Ⅲ 裁判例の展開/Ⅳ 考察/Ⅴ おわりに
第4章 父母離婚後の共同監護 ―アメリカにおける展開を中心として―
 Ⅰ はじめに/Ⅱ アメリカにおける共同監護の現状/Ⅲ おわりに
第5章 離婚後の共同親権・面会交流に関する法制審議会家族法部会の動向
 Ⅰ はじめに/Ⅱ 離婚後の親権者の指定/Ⅲ 離婚後の監護者の指定/Ⅳ 第三者との面会交流/Ⅴ おわりに
事例研究
 1 前調停の面接交渉条項を変更し父の面接を停止した事例
 2 第三者の立会い・指示を条件に面接交渉を認容した事例
 3 面接交渉と未成年者の福祉
 4 面会交流の頻度と子の福祉
 5 別居父母の共同監護の実態を評価し現状を維持した事例
 6 DV高葛藤事案における面会交流の可否および方法
 7 面会交流の禁止・制限事由
 8 婚姻費用分担額の算定方法
<著者>花元 彩(はなもと あや) 佛教大学社会学部公共政策学科准教授
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