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ハーブティーは三杯目 ― 86歳のラブレター ―
上村 十三子 / 著
  • ISBN978-4-88416-312-9
  • 四六判変形 並製 170ページ 
  • 2024年10月
定価:1,100円(本体1,000円+税)
『ハーブティーを飲みながら』(2014年刊)『ハーブティーをもう一杯』(2015年刊)の二冊を出版して九年。
八十六歳の著者が日々を軽やかな筆致で生き生きと紡ぎだす、第三作目のエッセイ集。

2024年9月下旬発売
目次
四季の旬を味わう
お星様が二つ
人生を奪ったコロナ
ちょっとやりすぎちゃいますか?
よみがえる古着、楽しいお絵描き
ITなんて大嫌い! されどIT
歳を重ねるってむごいですね
ありえない!高齢者ばかりの「風の盆」旅行記
弔いの旅・荘川桜を訪ねて
カナダシニアカレッジその後
断捨離断捨離
東日本大震災・飯舘村の悲劇
侘しい近隣とのお付き合い
深夜の救急病院待合室
ホームパーティーと孤独死
終の棲家は何処にしますか?
感動をいつまでも
あとがき

表紙絵・カット 上村 十三子
上村 十三子(Tomiko Kamimura)
1938年 大阪生まれ
毎日放送に入社
広報部に所属して、多くのテレビ番組の広報宣伝を手がける
1996年から2000年まで雑誌『あまから手帖』社外取締役
2000年から2008年まで民事調停委員
2010年から「関西民放クラブ」理事
2014年『ハーブティーを飲みながら』2015年『ハーブティーをもう一杯』のエッセイ2冊を出版
大阪市在住
ふと夜中に思いが浮かんだ。そうだ一年間カナダに留学してみたい。今の体調だと一年なら行けるかも! カナダは一か月だけ留学の真似事のような体験をしたことがある。その時一度立ち寄ったブリティシュ・コロンビア大学がいいな!
翌朝目覚めて我に返った。なんという途方もないことを考えたのだ。お前は何歳だと思っている? 出来るはずがないよ。
テレビでチェロの響きに触れ、突然チェロを習いたいなあ、フランス語も習いたい! 私は時々とんでもない妄想にかられる。
雑誌をパラパラ見ている時、テレビをぼんやり見ている時、街を歩いている時、キュンキュン感動して胸が熱くなる時がある。わあ、あんな絵を描きたい! あんな陶芸作品を作ってみたい! あの言葉いい! メモしなくては! なんてうつくしい若葉だ! 電車に乗っていても、うわあ、あの若い彼、カッコいい! 旅先で見つけた湧き水の美しさも忘れられない。何処からか聴こえる鳥の声、ピアノの調べ、音楽みたいなイタリア語のリズム、なんでもすぐに感動してしまう。―
― 歳を重ね、心身ともに衰えていくのは仕方ないことだが、長年蓄えてきた知力、経験、老人力がある。これからも何にでも挑む活力をなくさずに、闊達に生きていきたい。三杯目のハーブティーを飲みながら心豊かに過ごしたいと願っているこの頃である。(「感動をいつまでも」より)
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