教育・子育て
事例で学ぶ「気になる」子どもへの呼びかけ―つながること、つなげること―
- ISBN978-4-88416-189-7
- A5判 189ページ
- 2009年刊
公立小中学校教員が1年にわたり報告する現場事例を、大阪教育文化センター教育研究委員、大学教員がともに聴き取り、受け止め、批判しまとめた研究部会報告書。
生きづらさを抱えた子どもたちと日々向き合い、かかわる現場の教員へ、教職をめざす若者たちへ、今日的な実践課題を提示する1冊。
『教室を共同の場に―子どもが主人公になるとき―』(せせらぎ出版、1995年)に続く第2報。
《もくじ》
はじめに 久田 敏彦
第1章 陸とともに
(大阪府公立小学校教諭)吉村 和美
「なめられたらあかん!」の合言葉のなかで
1 「ノリの悪い」子どもたちとの出会い
2 猛と「有名な」母
3 5月。第1回しゃべり場開催
4 学級内クラブ最盛期の6、7月。給食ルール改変
5 猛親子へのタブー解禁
6 陸と拓也
7 たくさんの事件
8 陸、学級代表に
9 女子13人が「陸の暴力、暴言にがまんの限界!」
10 2月「女子二人による物盗り事件」
11 その後の子どもたち
12 今思うこと
【第1章解説】
「共生する空間」としての学級をつくる指導の可能性と課題
(大阪樟蔭女子大学)福田 敦志
1 子どもとの共感的な関係を構築する視点
2 「陸とともに」であることの思想と方法
3 支配的価値観の抑圧を乗り越える指導の可能性
第2章 豊かなつながりを育みあう集団づくり
(大阪府公立小学校教諭)山本 美紀
出会い「穏やかだけど、なんだか覇気がない」
1 文を書くことで、少しずつつながりあって
2 「事件」こそ、大切な「宝」に
3 学びあいの中で、豊かなつながりを
4 行事を成長の節に
5 保護者とのつながりに支えてもらいながら
6 子どもたちに学んだ事
【第2章解説】
「つながる」力を信頼して「つなげる」ということ
(大阪教育大学)久田 敏彦
1 教育実践記録と山本実践記録の特徴
2 子どもの「応答」から課題を探り、子どもの声を聴く
3 プロブレム(事件)をプログラム(学級づくりの見取り図)にのせる
4 学びや行事のなかで差異を含んだ共同のかたちを多重に構築する
5 学級通信「スバル」を「つなぐ媒体」にする
6 山本という教師に学ぶ
第3章 「生きづらさ」を抱えた生徒に向かいあう
(大阪府公立中学校教諭)中村 友美
「生きづらさ」全開
1 気になる生徒と対話を始める
2 揺れる生徒とつながる
3 生徒との関係を深める
4 生徒に語り込む
最後に
【第3章解説】
「自立」と「共感」を大切にして
(大阪教育文化センター教育研究委員)小部 修
1 指導困難な生徒を前にして
2 何を「受容」し、何に「共感」するのか
3 対話を成立させる
4 自治を介して行事をつくり、行事を介して関係をつくる
5 さらに求められてよい実践視点
第4章 寛容から安心へ
(大阪府公立中学校教諭)山田 健太
1 子どもたちとの出会い
2 1学期
3 2学期
4 3学期
5 1年間を振り返って
【第4章解説】
青年教師の実践をみがく
(大阪教育文化センター教育研究委員)森川 紘一
1 生徒の現実を見ること・聴くことから実践のスタートを
2 「困っている子」たちに寄り添うとは……
3 青年教師だからこそ、背負うことを期待したい課題
あとがき 福田 敦志