心理学・哲学・宗教
モルモン書は現代の偽典 ジョセフ・スミスが19世紀アメリカで霊感によって著した
- ISBN978-4-88416-258-0
- A5判ブックレット 120ページ
- 2017年7月
「偽典」(シューデピグラファ) は、民衆が持つ敬虔な好奇心に答えようとして書かれた側面があり、日本語が与える印象よりずっと宗教的で徳性を養うもの、正典につながっていくものとして重視されている。旧約聖書の申命記、ダニエル書、新約聖書のペテロ後書が偽典視されている。
末日聖徒イエス・キリスト教会(通称モルモン教会)の最も重要な書物、「モルモン書」がフィクション(創作)であると気づくことは、天動説が間違っていて地動説が正しいことを受け入れたコペルニクス的転回に相当する、と一部の理知的な教会員は見ている。
モルモン書に批判的手法を適用することは、末日聖徒にとって馴染みのないことであっても、創始者と末日聖徒の聖典の意義が非モルモンに認識されることになる。そして、モルモン書が欽定訳聖書に広範に依存していることが分かれば、共通の聖書的遺産を受け継いでいることになり、モルモンと非モルモンが和解の方向に向かうことが期待される。 (著者R.M.プライス)
目次
はじめに
1 ロバート・M・プライス「『モルモン書』はジョセフ・スミスが霊感によって著した」
よみがえった文書
先行例に続く新参者ジョセフ・スミス
際限のない物語の世界
「なぜわたしの名を聞くのですか」(創世32:29)
「変形エジプト文字」は「異言」に相当
後期預言者を受け入れた後期聖徒(日本語では末日聖徒)
預言とその改訂・加筆
ニーファイ人の菩薩(涅槃に到達できるが、苦しむ衆生を憐みこの世に留まる人)
「もし遅くなっても、それを待て」(ハバクク2:3)
黙示と弁明
2 「モルモン書」を現代の偽典と見なした研究者・学者
3 「モルモン書」理解に参考となる19世紀初頭の背景資料