平和・社会・歴史・教科書
復刻版 二つの祖国の狭間に生きる―長谷川テルの遺児暁子の半生
- ISBN978-4-88416-270-2
- 四六判 332ページ
- 2019年9月
戦中、中国各地で日本軍兵士に対して反戦平和放送をした、エスペランチスト長谷川テル。中国人の夫・劉仁との間に生まれたのが、本書の著者 長谷川暁子(中国名「劉暁嵐」)である。
「烈士遺児」として中国で育てられ「文化大革命」など過酷な動乱の時代を生きぬき、その後日本に渡り日本国籍を得た著者が記した半生。
2012年に同時代社より刊行された『二つの祖国の狭間に生きる』の完全復刻版。
品切れ・重版未定
複雑な国際環境のもと、むずかしさを増してばかりいた七年余り前、二つの祖国への愛情を込めて書いた私の自伝は、同時代社・高井隆様のご協力をいただき発行できました。
拙書は、私が生きてきた前世紀におきた日中両国の悲劇を、二つの祖国をもつ者の立場から、ある程度客観的に反映できているのではないかと思います。ここにせせらぎ出版によって、復刻版出版が実現したことは、大変うれしく光栄の限りです。より多くの、二つの祖国の同胞が、自国の歴史の翳を直視できることは、私にとっても新しい希望です。 ―長谷川暁子「復刻版出版にあたって」より
《目次》
復刻版出版にあたって―長谷川暁子
第一章 遥かな記憶
一人ぼっち
懐かしき母校
私の母は日本人?
史先生の不運
第二章 光と影の交錯
新しい生活
冬休みの試練
「製鉄製鋼」の狂騒
兄との再会
初めて両親の顔を知る
赤い衝撃
十四歳の反抗
第三章 平穏な高校時代
恩知らずへの反省
過酷極まる一族の運命
両親の生涯
ささやかな波紋
第四章 嵐の歳月
揺れた青春
歪んでいくキャンパス
ネコ先生の話
「造反有理」の実相
兄の闘い
ジャムスへの旅
打ち切られた奨学金
第五章 自由への歩み
辺鄙な砂漠へ島流し
叶った夢
日中友好ブームの中、日本へ
第六章 第二の人生
長谷川テルの遺児としての葛藤
「ニッポンへの情」との別れ
素晴らしき出会い
奈良の日々
兄妹の選択
再び日本へ
「小日本人」の成長
終 章 二つの祖国の狭間で
解説―岩垂 弘
《著者略歴》
長谷川 暁子 (はせがわ あきこ)
1946年4月14日中国瀋陽に生まれる。哈尓浜市霄虹小学校、同市第十一中学校、同市第三十二高校を卒業、
1964年、唐山鉄道学院電力工学部入学。
1970年、寧夏回族自治区中衛鉄路職工子弟学校(中学・高校)で数学教師として勤務。
1980年より、北京鉄道部二七機車工廠の職工大学で勤務。
1985年10月~1987年3月、東京電気通信大学、奈良女子大学へ留学。
1990年5月~1991年3月、福島大学へ留学。
1992年の春、日本国籍取得。 京都学園大学、神戸学院大学、同志社大学で中国語非常勤講師として勤務。